セカンドワインの品質が(2022年に)特に高いことも注目すべき点である
– ウィリアム・ケリー、ワインアドヴォケイト誌
セカンドワインは、近年ボルドーでは知る人ぞ知るトップシークレットであり、以下に特筆する2つの理由から今, 最も魅力的な買いのワインとささやかれています:
- 高級ワイン界で最も有名な銘柄のワインをより身近に楽しめること
- セカンドワインは、近年最も有益な投資対象のワインとして注目を集めている
では、マーケットの今後の展望を深堀りする前に、ここで今一度、セカンドワインの定義を再確認してみましょう。最新版の当社のニュースレター「Cult Insider」で、このセカンドワインについて、詳しく説明しています。 要約すると、ボルドーの格付けワインであり、グランヴァン(格付け第一級)と同じテロワールから生まれ、かつ同じ施設・同じ醸造チームによって造られたワインが、セカンドワインのとしてのカテゴリーとして分類されます。また、セカンドワインを造る為に別の畑の区画や、時には別の醸造施設を用意するケースもあります。このような条件で造られたワインは、セカンドラベルと呼ばれることがあります。しかし、この記事では、この2つのカテゴリーを一つにまとめて、「セカンドワイン」という用語で分析していきたいと思います。
セカンドワイン – なぜ騒がれるのか?
セカンドワインは、価値のあるEP購入(アンプリムールでの購入)という点において、近年ではボルドー市場全体のパフォーマンスを上回るという歴史を誇っています。5年前に遡ると、2016年ヴィンテージのEPキャンペーンに伴うリリース後の強力なラリーによって、セカンドワインのパフォーマンスは急上昇しました。それ以後このカテゴリーは、グランヴァンとボルドーの大規模なベースの両方に対して、優位性を維持しています。
図1 – 2018年のEP後の急上昇が、セカンドワインのアウトパフォームを牽引する。
セカンド・ワイン対グラン・ヴァン およびカルト・ワインズ・ボルドー指数の比較(2018年5月~2023年5月)

*出典はこちら 2023年4月30日時点のWine-Searcher.comによる価格データ。過去の実績は、将来のリターンを保証するものではありません。First GrowthとSecond Winesインデックスには、それぞれ左岸のFirst Growthとそのセカンドワインがすべて含まれる。 Cult Wines Bordeaux Indexは、Cult Wines Indicesに基づくものです。
タンク内はさらに充実
近年、セカンドワインの全体的なパフォーマンスは、ボルドー市場全体と足並みを揃えていますが、過去2回のEPキャンペーンでは、セカンドワインカテゴリーがカルトワインズでのトップパフォーマーとなっています。この成功の一部には選択的なアプローチによるのもさることながら、さらに言えば、セカンドワインが過去2015年と2016年に成功を収めたヴィンテージキャンペーンに戻ったように、再び最も魅力的なEP購入の1つになりつつあることも示しています。
図2 – EPパフォーマンスのトップに返り咲いたセカンド・ワイン
カルトワイン投資EPのカテゴリー別CAGR-2015-2021年EPキャンペーン

出典はこちら 2022年3月31日時点のWine-Searcher.comによる価格データ。過去の実績は、将来のリターンを保証するものではありません。CAGR=2015~2021年ヴィンテージのEPキャンペーンの4月01日~6月30日(EP2019を除く、COVIDの遅延により5月01日~7月31日に購入されたものを含む)の購入の年平均成長率。
このセカンドワインの勢いは、2022年の新しいEPキャンペーンにも、当然影響すると予測できます。2022年ヴィンテージに関する多くのコメンテーターに共通するテーマは、「階層ピラミッドの一部が平らになった」(ニール・マーティン氏, Vinous)ことで、セカンドワインの中には、グランヴァン級の品質と熟成能力を持つものも多く存在するという事実です。
このような品質に関する評判に加え、今年はより広い市場背景によりセカンドワインのカテゴリーが、さらに大きな需要シェアを占める可能性が見込まれています。買い手サイドにおいては、マクロ経済的な生活コストへの懸念に加え、高級ワインの価格が全般的に上昇する中で、価格に対する感度が高まっていることを示しています。このトレンドの恩恵に浴するのは知名度の低い生産者である可能性が高いなか、有名シャトー・ワイナリーなどのビッグブランドは、依然として確固たる地位を維持しています。あらゆるレベルから高品質なワインが生まれた年に、これらのセカンドワイン味あう事により、アイコニックなブランドのワインを、身近な存在として楽しむ事が可能になったと言えるでしょう。今後、この様な需要が増えれば、さらにセカンドワイン業績を上昇させる勢いにつながるといっても過言ではありません。
図3-厳選されたグラン・ヴァンとセカンド・ワインの平均価格

出典はこちら 2023年05月01日時点のWine-Searcher.comの価格データ。価格は2016-2020年ヴィンテージの平均値。
そしてグランヴァンの生産者に対しても遜色のないセカンドワインの品質と、より広い市場に対する、相対的な価値を考慮した選択的なアプローチは、今後のパフォーマンスの可能性を高めるのに重要なポイントとなるでしょう。ほとんどのワインはまだ市場に出ていませんが、2022年にリリースされるEPの中で、私たちカルトワインズが期待しているトップ・セカンド・ワインのいくつかを紹介していきたいと思います。
カリュアド・ド・ラフィット

* 91-93pts-ウィリアム・ケリー氏による2022年のスコア・ワイン・アドヴォケイト誌
* 17.8% – CWIのEP購入の平均CAGR[1]
* グランヴァン価格の43.6%(2023年5月1日現在、Wine-Searcher.com調べ)
シャトー・ラフィットのセカンドワインは、アイコニックなブランド名、グランヴァンと同じテロワールの最高品質のワイン、魅力的なリリース価格の実績など、優れたEPリリースとして多くの条件を満たしています。そのため、カリュアドはボルドー市場全体で、最も高いリターンを記録しています。
2022年のカリュアドは、素晴らしいスコアと、市場で最も低いカリュアドとなるリリース価格(1,128ポンド/6x75cl)にて、この伝統を受け継ぐようです。このカリュアドは、ラフィットの僅かに厳選されたテロワールの区画から造られたグランヴァンよりも、メルローの比率が高いのが特徴です。
ル・プティ・ムートン

* 92-94pts – ニール・マーティン氏, Vinousによる2022年のスコア(WAスコアはなし)
* 10.8% – CWIのEP購入の平均CAGR[2]
* グランヴァン価格の41.5%(2023年5月1日時点のWine-Searcher.com調べ)
ル・プティ・ムートンは、メドック格付け第1級シャトー・ムートン・ロートシルトと同様のプロフィールと、ブランド力を持つワインをより手頃な価格で入手できるようにしたものです。その結果、2015年から2021年のEPキャンペーンでカルトワインズが購入したEPの中で、ル・プティ・ムートンのCAGRは、カリュアド・ド・ラフィットに次ぐものとなっています。
グランヴァンに対する価格比は縮小していますが、2022年のル・プティ・ムートンは、その高得点から、今後上昇を期待できます。92-94点のレンジは、最終的にワインアドヴォケイト誌のル・プティ・ムートン史上最高得点となる可能性があります。
アルテ・レゴ・ド・パルメ

* 91-93pts – ウィリアム・ケリー氏による2022年のスコア、ワイン・アドヴォケイト誌
* 10.7%-CWIのEP購入の平均CAGR[3]
* グランヴァン価格の23.8%(2023年5月01日時点のWine-Searcher.com調べ)
専用区画から造られる、格付けは3級でありながらも、シャトー・マルゴーに匹敵すると言われている、アルテ・レゴ・ド・パルメ。2022年のEPリリース価格はまだ出ていませんが、アルテ・レゴやメドック格付け第一級生産者以外のセカンドワインは、このカテゴリー内における、価格上昇の次なる波を牽引する可能性があります。これらワインの価格は通常、それぞれのグラン・ヴァンの価格の20~25%程度であり、カリュアド・ド・ラフィットやル・プティ・ムートンのような生産者が40%以上であるのと対照的です。
レゼルヴ・ド・ラ・コンテス

* 91-93pts – ニール・マーティン氏, Vinousによる2022年のスコア(WAスコアなし)
* 5.7%-CWIのEP購入の平均CAGR[4]
* グランヴァン価格の21.9%(2023年5月01日時点のWine-Searcher.com調べ)
シャトー・ピション・ロングヴィル・コンテス・ド・ラランドは2022年が多くの批評家の評価でトップに近い位置に来ており、大きな注目を集めました。このグラン・ヴァンの話題は同時に、この素晴らしいメゾンのセカンド・ワイン、ラ・レゼルヴ・ド・ラ・コンテスへの関心も高めるはずです。
このワインのグランヴァンに対する価格比は、主要ドメーヌの中で最も魅力的なものの1つであり、つまり、ル・レゼルヴ・ド・ラ・コントスのワインは、今後数年で大きな収益を上げ始める可能性があるワインの筆頭といえるでしょう。
パヴィヨン・ルージュ・デュ・シャトー・マルゴー

* 92-94pts – William Kelley氏による2022年のスコア、ワイン・アドヴォケイト誌
* 5.4%-CWIのEP購入の平均CAGR[5]
* グランヴァン価格の29.9%(2023年5月1日時点のWine-Searcher.com調べ)
シャトー・マルゴーのパヴィヨン・ルージュは、セカンドワインの中で最も高いスコアを獲得することが多く、2022年の再スコアでは最高値で90点台半ばを記録しました。
マルゴーのグラン・ヴァンと比較して、パヴィヨン・ルージュの価格は平均してグラン・ヴァンの3分の1以下であり、格付け1級畑としては魅力的な比率です。この相対的な価値と2022年のビッグスコアは、リリース価格がどこに落ち着くかによって、このワインを2022年のEPキャンペーンにおいて、最も賢い買いワインの1つになる可能性があります。